40代で転職活動を始める前に|これまでの経験を棚卸しする7つの視点

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40代で転職を考え始めると、「自分には、外で通用するような強みがあるのだろうか」と不安になることがあります。長く働いてきた。それなりに経験もある。でも、いざ転職となると、何をアピールすればよいのか分からない。そんな人もいると思います。

20代のころなら、経験が少ないこと自体が普通です。でも40代になると、「これまで何をしてきたのか」を見られる場面が増えます。だからこそ、転職活動を始める前に、一度これまでの経験を棚卸ししてみる意味があります。

棚卸しというと、大きな実績、役職、表彰、売上、資格などを探したくなるかもしれません。でも、最初からそこを見る必要はありません。むしろ大切なのは、これまで普通にやってきた仕事を、具体的に思い出すことです。

自分では当たり前になっている仕事。何度も任されてきた役割。困ったときに頼られてきたこと。改善したこと。失敗して学んだこと。その中に、次でも使える経験が隠れていることがあります。

この記事では、40代で転職活動を始める前に、これまでの経験を7つの視点から整理していきます。目的は、立派な自己PRを作ることではありません。まず、自分はこれまで何をしてきた人なのかを、自分自身が分かるようにすることです。

まだ転職するか残るか自体を迷っている場合は、40代で今の会社に残るか、転職するかを考える7つの視点から整理しても構いません。

40代の日本人会社員が同僚と資料を確認しながら実務を進める様子

40代の棚卸しは「何年働いたか」から始めない

40代になると、勤続年数が長くなっている人も多いと思います。営業を20年。経理を15年。製造を18年。人事を12年。それ自体は、もちろん経験です。

でも、「何年働いたか」だけでは、その人が何をしてきたのかまでは分かりません。

勤続年数は経験の長さを示しても、中身までは示さない

たとえば、同じ営業を20年してきた二人がいたとします。一人は新規顧客の開拓を中心にしてきた。もう一人は既存顧客との長期的な関係づくりを中心にしてきた。同じ「営業20年」でも、経験は違います。

法人営業、個人営業、大口顧客、中小企業、新規開拓、既存顧客、営業企画、後輩育成。どこまで経験してきたかで仕事の中身は変わります。だから棚卸しでは、「○○を何年」で終わらせず、その中で何をしてきたのかまで見ます。

「何を担当したか」を具体的にする

まずは、担当してきたものを書き出します。営業なら、どんなお客さまを担当したか。どんな商品を扱ったか。新規か既存か。担当件数はどのくらいか。経理なら、日常経理、月次、年次、予算管理、原価、税務のどこまで関わったか。

製造なら、どの工程、どんな設備、品質、生産管理、改善、安全のどこまで担当したか。同じ職種でも、担当範囲によって経験は変わります。

「何を任されたか」を見る

次に、任されてきたことを思い出します。重要なお客さま、難しい案件、新人教育、トラブル対応、会議の進行、他部署との調整、最終チェック、責任者の代理。正式な役職がなくても、任されていた仕事があります。

ここは自分では見落としやすいところです。長く働いていると、任されることが当たり前になっているからです。

「どんな判断をしてきたか」を見る

40代の経験には、作業だけでなく判断が含まれていることがあります。優先順位を決める。お客さまへの対応を決める。トラブル時の対応を考える。人員配置を調整する。納期を判断する。仕事の進め方を変える。上司へ提案する。

単に「この業務を担当しました」だけでなく、その仕事の中で、何を自分で考えてきたのかも書き出してみます。

過去の仕事資料やノートを見ながら担当業務を整理する手元

「誰と仕事をしてきたか」も経験になる

仕事は一人では完結しないことが多いものです。お客さま、上司、部下、後輩、他部署、取引先、協力会社、経営層。どんな相手と、どんな立場で関わってきたでしょうか。

営業と製造の間に入って納期を調整していた。現場と本社の間で情報をまとめていた。お客さまの要望を社内へ伝えていた。複数部署の意見を調整していた。こうした経験は、職種名だけでは見えません。

「何を解決してきたか」を思い出す

日々の仕事の中には、小さな問題解決があります。納期が遅れそうだった。ミスが続いていた。問い合わせが増えていた。新人がなかなか仕事を覚えられなかった。部署間で認識がずれていた。

そのとき、自分は何をしたでしょうか。誰かに相談した。手順を変えた。説明資料を作った。役割を分けた。確認方法を変えた。こうしたものも、棚卸しする価値があります。

役職名より、実際にやってきたことを見る

40代になると、役職があるかどうかを気にする人もいます。課長、係長、主任、リーダー。もちろん役職は一つの情報です。

でも、役職がなくても実際には周囲を支えてきた人がいます。逆に役職があっても、その中で何をしてきたのかを説明できなければ経験の中身は伝わりません。だから、役職名だけで自分の経験を評価しないようにします。

「長く働いた」から一段下りてみる

たとえば、「20年間、製造業で働いてきました」から一段下ります。どの工程だったか。何を担当したか。どんな問題に対応したか。誰と調整したか。何を改善したか。

さらにもう一段下り、その改善はなぜ必要だったのか、自分は何をしたのか、結果はどうなったのかまで見る。ここまで下りると、ようやくその人の仕事経験が見えてきます。

まず「普通にやってきた仕事」を全部書き出す

経験を棚卸ししようとすると、つい「人に誇れることを探さなければ」と思います。でも、最初から立派な経験を探す必要はありません。まずは、普通にやってきた仕事を全部出すところから始めます。

大きな成果だけを探さない

売上1位。大型プロジェクト。表彰。昇進。そうした実績があれば、もちろん書き出します。でも、それだけが経験ではありません。

毎日の顧客対応、見積もり、資料作成、集計、会議、進捗管理、後輩指導、クレーム対応、品質確認、部署間調整。こうした日常業務も、一度全部出します。

「こんなの誰でもやっている」で消さない

棚卸しをしていると、自分で自分の経験を消してしまうことがあります。「電話対応なんて誰でもやっている」「新人に教えるくらい普通」「Excelで集計しただけ」「会議の調整なんて仕事なら当然」。

でも、それをどのくらい、どんな相手に、どんな状況で、どんな工夫をしながらやってきたのかは人によって違います。最初の段階では、価値があるかどうかを判断せず、一度書き出します。

付箋やノートを使って普段の仕事内容を書き出して分類する手元

一日の仕事を朝から順番に思い出してみる

何を書けばよいか分からない場合は、一日の仕事を順番に思い出します。朝、何を確認するか。誰と話すか。どんな資料を見るか。何を判断するか。午後は誰と関わるか。どんな問題が起きやすいか。終業前に何を確認するか。

こうすると、「仕事の名前」ではなく、実際にやっていることが出てきます。

一週間・一か月単位でも思い出す

毎日ではなく、定期的に行う仕事もあります。週次会議、月次集計、売上確認、予算管理、棚卸し、報告資料、部下面談、取引先との定例会。こうした仕事も書きます。

月に一度、四半期に一度、年に一度の仕事は、日常業務だけを思い出していると抜けやすいものです。

「頼まれ仕事」も書いてみる

正式な担当ではないのに、よく頼まれることがあります。Excelを直してほしい。このお客さまに説明してほしい。新人へ教えてほしい。この資料を確認してほしい。会議をまとめてほしい。困っている部署を手伝ってほしい。

こうした仕事も一度書き出してみます。なぜ自分に頼まれていたのか。そこに、次に見る「よく任されてきたこと」のヒントがあります。

昔の仕事も忘れずに見る

40代になると、今の仕事だけでも経験が多くなります。でも、若いころ担当していた仕事、以前の部署、前の会社、今はしていない仕事も見てみます。そこで身につけたものが、今の自分の土台になっていることがあります。

書き出す段階では、きれいにまとめなくていい

最初から「これは強み」「これは実績」と分類しなくても構いません。顧客対応、新人教育、月次集計、トラブル対応、改善提案、会議進行というように、まずは並べます。20個でも30個でも、もっとあっても構いません。

この段階では、文章としてきれいにする必要もありません。

棚卸しは、自分を立派に見せる作業ではない

経験の棚卸しというと、転職で自分をよく見せるための作業に思えるかもしれません。でも、まずは違います。何をしてきたのか。何を任されてきたのか。何が得意だったのか。何が苦手だったのか。それを自分自身が知るための作業です。

強く見せる必要も、大きく見せる必要もありません。事実を具体的にする。 そこから始めれば十分です。

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「よく任されていたこと」から強みを探す

ここまで書き出した「普通の仕事」の中から、次は、なぜか何度も自分に任されてきたことを探してみます。自分では「特別なことではない」と思っていても、周囲が何度も同じ仕事を任せてきたなら、そこには何か理由がある可能性があります。

自分が得意だと思うことだけを探さない

「あなたの強みは何ですか」と聞かれると、答えるのが難しいものです。そのときは、自分の評価ではなく、周囲からどんな仕事を任されてきたかを見ます。

自分では気づいていなくても、周囲は「この仕事なら、この人に頼もう」と判断していたかもしれません。

難しいお客さまを任されていなかったか

対応が難しいお客さま、長く付き合っている重要なお客さま、説明に時間がかかる案件、トラブルが起きた案件。こうしたものを、なぜか自分が担当することが多かったということがあります。

その場合、単に「営業をしていた」だけではなく、相手の話を聞く、状況を整理する、社内と調整する、相手へ説明する、関係を崩さず対応するといった経験を積んでいる可能性があります。

新しい人が入ると、教える役になっていなかったか

新人、若手、異動してきた人、中途入社の人。そうした人が来ると、自分が仕事を教えることが多かった。これも一つの経験です。正式な教育担当ではなくても構いません。

仕事の順序を説明する。マニュアルを補足する。困っていないか声をかける。間違いやすいところを伝える。教えた人の仕事を確認する。こうしたことを繰り返していたなら、説明、育成、標準化、フォローといった力があります。

40代の日本人会社員が若手社員に仕事を教える様子

問題が起きると呼ばれる人ではなかったか

何か問題が起きたとき、「○○さんに聞いてみよう」と言われる人がいます。システムのトラブル、お客さまからの問い合わせ、社内手続き、製品の不具合、過去の経緯。正式な責任者ではないのに、なぜか相談される。

これも、長く働いてきた中で積み上げた経験です。知識だけでなく、問題を整理する力、必要な人を探す力、過去の経験から判断する力などが使われている可能性があります。

部署と部署の間に入ることが多くなかったか

営業と製造、現場と本社、技術と営業、上司と部下、お客さまと社内。こうした間に入り、話をまとめる仕事があります。本人は「単なる調整」と思っているかもしれません。

でも、立場の違う人の話を聞く、条件を整理する、相手に分かる言葉へ変える、着地点を探すという仕事です。転職先でも使える経験になる場合があります。

最後の確認を頼まれていなかったか

資料を作ったあと「一度見てもらえますか」と頼まれる。大事なメールを送る前に確認を求められる。見積もり、契約、数字、品質、文章。こうした最終確認を頼まれることが多かった人もいます。

そこには、正確さ、注意力、経験から違和感を見つける力などがあるかもしれません。

「なぜ自分に頼まれていたのか」を考える

棚卸しでは、任されていた仕事を書くだけでなく、少しだけ理由も考えてみます。説明が分かりやすかったから。ミスが少なかったから。お客さまと関係を作るのが得意だったから。最後まで投げ出さなかったから。部署を越えて話ができたから。専門知識があったから。

正解を無理に決める必要はありません。ただ、繰り返し任されていたことには、自分の仕事の特徴が表れていることがあります。

改善したことを「問題→行動→結果」で整理する

40代まで仕事をしていると、何かを少し良くした経験がある人も多いと思います。大きな改革でなくて構いません。毎月面倒だった仕事を少し楽にした。ミスを減らした。資料を分かりやすくした。問い合わせへの対応を整理した。後輩が迷わないように手順を作った。こうしたものも、立派な改善経験です。

「改善しました」だけでは中身が見えにくい

職務経歴を整理するとき、「業務改善に取り組みました」「効率化を図りました」「業務の見直しを行いました」と書くことがあります。もちろん間違いではありません。でも、これだけでは何をしたのかが分かりません。

そこで、三つに分けます。問題。行動。結果。 です。

まず、何が問題だったのか

毎月の集計に時間がかかっていた。入力ミスが多かった。担当者によってやり方が違っていた。問い合わせの回答に時間がかかっていた。引き継ぎに時間がかかっていた。会議資料を毎回一から作っていた。改善には、その前に何か困っていたことがあります。まずそこを思い出します。

次に、自分が何をしたのか

Excelの関数や表を見直した。入力項目を整理した。チェックリストを作った。手順書を作った。問い合わせ内容を分類した。関係部署とルールを決めた。会議資料のひな型を作った。

ここでは、「会社として改善した」ではなく、その中で自分が何をしたのかをできるだけ分けます。

40代の日本人会社員が表計算資料やPCを使って業務改善を進める様子

結果は、できる範囲で具体的にする

最後に、その結果どうなったのかを見ます。作業時間が減った。ミスが減った。問い合わせ対応が早くなった。引き継ぎがしやすくなった。新人が仕事を覚えやすくなった。数字にできるなら、できる範囲で入れます。

たとえば、毎月6時間かかっていた集計が3時間になった。一人ずつ作っていた資料を共通化した。毎日行っていた確認を週単位に整理した。正確に分からない数字を作る必要はありませんが、記録や記憶から説明できる範囲なら具体的な数字がある方が、仕事の大きさは伝わりやすくなります。

数字は、自分を大きく見せるためではない

数字を入れる目的は、「すごい人」に見せることではありません。読む側が、仕事を想像しやすくするためです。

「Excelを使って業務改善しました」だけでは何をしたのか分かりにくい。でも、どんな作業を変えて、どのくらい時間が減ったのかが分かれば、採用する側は「この人なら、うちでもこういう改善をしてくれるかもしれない」と想像できます。経験を伝えるときに大事なのは、派手さよりも具体性です。

小さな改善でもいい

大企業全体の改革、数千万円のコスト削減、大規模システム導入の経験がなくても構いません。自分のチーム、自分の担当業務、自分の机の周り。その範囲で仕事を少し良くした経験を探します。

40代まで働いていると、こうした小さな改善がいくつも積み重なっている場合があります。

採用されなかった提案も書き出しておく

改善を提案したけれど、実現しなかった経験もあります。予算がなかった。会社の方針に合わなかった。時期が悪かった。関係者の合意が取れなかった。

だからといって、考えたことまで無価値になるわけではありません。何を問題だと思ったのか。何を提案したのか。なぜ実現しなかったのか。そこから何を学んだのか。ここまで整理すれば、次の経験につながります。

うまくいかなかった経験も棚卸しする

棚卸しというと、成功したことを並べる作業に見えます。でも40代まで働いていれば、うまくいかなかった仕事もあるはずです。思ったような成果が出なかった。提案が通らなかった。部下の育成に苦労した。プロジェクトが遅れた。お客さまとの調整が難しかった。異動先で仕事になじめなかった。

こうした経験も、捨てなくてよいと思います。

失敗を「なかったこと」にしなくていい

転職活動では、よいところだけを見せなければならないと思う人もいます。もちろん、失敗を必要以上に並べる必要はありません。でも、自分の棚卸しの段階では隠す必要もありません。むしろ、うまくいかなかった経験には自分の特徴が出ることがあります。

何がうまくいかなかったのかを分ける

たとえば、プロジェクトが遅れた。そこで終わらせず、なぜ遅れたのかを考えます。最初の見積もりが甘かった。関係部署との調整が遅れた。役割分担が曖昧だった。途中で条件が変わった。自分の知識が足りなかった。

原因を分けると、そこから学んだことも見えてきます。

そのとき、自分は何をしたか

問題が起きたあと、どう動いたでしょうか。上司へ相談した。スケジュールを組み直した。お客さまへ説明した。役割を再調整した。手順を変えた。次から同じことが起きないように記録を残した。

結果だけではなく、問題が起きたあと、どう対応したかも経験です。

日本人社員のチームが資料を囲み問題解決について話し合う様子

「できなかった」で終わらず、何を学んだかまで見る

たとえば、部下の育成がうまくいかなかった。そこで「自分はマネジメントに向いていない」と決める必要はありません。説明の仕方を変えた。相手によって教え方を変える必要があると分かった。任せる範囲を明確にした。定期的に話すようにした。そうした学びがあるかもしれません。

経験は、成功したときだけ積み上がるわけではありません。

前の会社や上司の批判だけにしない

うまくいかなかった経験を整理すると、会社への不満が出てくることがあります。上司が理解してくれなかった。会社が古かった。提案を聞いてもらえなかった。それも事実かもしれません。

ただ、転職活動で使う経験へ変えるなら、そこで止めない方がよいです。その環境の中で自分は何を考えたのか。何を試したのか。何が難しかったのか。次ならどうするのか。まで進めます。

結果が出なかった経験にも、考えた過程がある

改善提案をした。でも採用されなかった。それでも、現状の問題を見つけた。改善案を考えた。関係者へ説明した。実現しなかった理由を知った。という経験があります。

結果だけを見れば「改善できなかった」かもしれません。でも、その過程まで見れば経験は残っています。

40代には、成功だけではない経験がある

若いころより仕事の年数が長くなれば、失敗も増えます。思い通りにならなかったこと。判断を間違えたこと。後からもっと良い方法に気づいたこと。それも含めて、今の仕事の仕方ができています。

だから40代の棚卸しでは、成功した実績だけではなく、どんな問題に出会い、どう考え、どう立て直してきたかも見てみます。

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棚卸しした経験を「次でどう使えるか」に変える

ここまで、普通にやってきた仕事、何度も任されてきた仕事、改善した仕事、うまくいかなかった仕事を整理してきました。ここまででも、「自分は思っていたより、いろいろなことをしてきた」と気づく人がいるかもしれません。

でも、経験の棚卸しは過去を振り返るだけで終わらせなくてよいと思います。次に考えたいのは、この経験を、これから何に使えるのか。ということです。

経験を「持ち運べる力」に言い換えてみる

たとえば、新人へ仕事を教えてきた。これは「新人教育をした」という経験です。でも、もう一段考えると、相手に合わせて説明する。仕事を分かりやすく分解する。間違いやすいところを見つける。進み具合を確認する。といった力を使っています。

すると、新人教育という一つの経験を、育成、説明、標準化、フォローといった形に言い換えることができます。

経験を棚卸ししても、『この中の何が自分の強みなのか分からない』と感じることがあります。その場合は、よく任されてきた仕事、比較的苦にならず続けてきたこと、その力を使って周囲や仕事にどんな変化が起きたかまで見ると、転職で使える強みを見つけやすくなります。

顧客対応の経験も、仕事を越えて使えることがある

長く顧客対応をしてきた人なら、単に「お客さまと話してきた」だけではありません。相手の要望を聞く。言葉になっていない困りごとを探る。社内へ伝える。できることとできないことを説明する。意見が食い違ったときに調整する。こうした経験があります。

これなら、別の業界、別の職種でも使える場合があります。

部署間調整なら「調整した」で終わらせない

営業と製造、現場と本社、技術部門と営業部門。複数の部署の間に入ってきた人もいます。本人は「間に入って調整していただけ」と思うかもしれません。

でも実際には、それぞれの事情を聞く。情報を整理する。優先順位を確認する。共通点を探す。期限を調整する。関係者へ説明する。ということをしています。そこには、関係者調整、情報整理、合意形成、進行管理といった力があります。

改善経験なら「改善したもの」と「改善の仕方」を分ける

Excelの集計方法を変えた。手順書を作った。チェック方法を変えた。こうした経験では、何を改善したかだけでなく、どうやって改善したかを見ます。

問題を見つけた。原因を調べた。やり方を考えた。周囲へ説明した。実際に使ってもらった。結果を確認した。ここまで見ると、一つのExcel改善の中にも、課題発見、分析、提案、実行、検証という流れがあります。

40代の日本人会社員が付箋で経験を分類する様子

「できること」と「これからも使いたいこと」は分けていい

経験を棚卸しすると、できることがたくさん出てきます。でも、できるからといって、次の仕事でも続けたいとは限りません。

管理職経験はある。でも今後は人を管理するより専門性を深めたい。営業経験は長い。でも新規開拓はもう減らしたい。調整役を何年もしてきた。でも次は自分で集中して進める仕事を増やしたい。それでも構いません。経験があることと、これからもその経験を使いたいことは別です。

棚卸しした経験すべてを、次へ持っていかなくていい

40代になると、経験が増えている分、「この経験を捨てるのはもったいない」と思うことがあります。でも、すべてを次へ持っていく必要はありません。

これまで20年営業をしてきたからといって、次も営業でなければならないわけではありません。その20年の中から、顧客理解、提案、交渉、数字管理、教育、改善など、使いたい部分だけを持っていくこともできます。40代の転職は、今までの経験を丸ごと持っていくことではなく、これからも使いたい経験を選び直すことでもあります。

「次の仕事で使えるか」で求人を見る

求人を見るときも、職種名だけを見るのではなく、自分の経験との接点を探します。求人に「社内外の関係者との調整」と書かれている。自分はこれまで、営業と製造の間で何度も納期調整をしてきた。なら接点があります。

「業務改善経験」と書かれている。自分は小さなものでも、いくつか業務を改善してきた。なら、その経験を具体的に整理してみます。こうすると、求人を見る目も変わります。

「未経験だからゼロ」ではない場合もある

職種を変える場合、「未経験だから、すべてゼロから」と思いやすいものです。もちろん新しく覚えることはあります。でも、新しい職種でも、これまで使ってきた力の一部が使えることがあります。

人と話す。説明する。数字を見る。問題を見つける。改善する。調整する。教える。仕事を進める。こうした力は、職種名を越えて使える場合があります。

自分の経験と求人を一度並べてみる

気になる求人を一つ選び、そこに書かれている仕事内容、求められる経験、必要な力を見ます。そして、自分の棚卸しメモと比べます。使えそうな経験、足りない経験、これから身につけたいものが見えてきます。

応募するかどうかは、そのあとで決めても構いません。次にやりたい仕事そのものがまだ分からない場合は、やりたいことを無理に決めず、今ある経験や避けたいことから整理する考え方も参考になります。 棚卸しした経験がキャリアアドバイザーの仕事に活かせるか考えたい場合は、向いている人の特徴や応募前の確認点も整理しておきましょう。

自分だけで分からなければ、外から見てもらう

経験の棚卸しをしても、「これが強みと言えるのか分からない」ということがあります。それは不思議ではありません。自分の仕事は、自分にとって当たり前だからです。毎日やってきたことほど、価値を感じにくいことがあります。

自分では普通でも、外から見ると普通ではないことがある

何年間も重要顧客を担当してきた。新人が入るたびに教育してきた。複数部署の調整役を続けてきた。クレーム対応を任されてきた。改善提案を何度もしてきた。本人にとっては「仕事だからやってきただけ」かもしれません。

でも、別の会社の人から見ると、「それは具体的にどのようにやっていたのですか」と興味を持たれることがあります。

人に話すと、自分の経験を説明できていない部分が分かる

棚卸しした内容を誰かに話してみます。すると、「なぜ、その改善をしたのですか」「何人くらいを教えていたのですか」「そのとき、あなたは何を担当したのですか」「結果はどうなりましたか」と質問されることがあります。

こう聞かれて初めて、自分の説明が曖昧だったことに気づくことがあります。それも大切な発見です。

40代の日本人会社員が日本人の相談相手とキャリアについて対話する様子

「市場価値はいくらか」だけを知ろうとしなくていい

転職を考えると、自分の市場価値が気になることがあります。でも、人の仕事経験を一つの数字だけで表すことは難しいものです。同じ経験でも、必要としている会社もあれば、そうでない会社もあります。

大切なのは、「自分はいくらの人材なのか」だけではなく、自分の経験が、どこで役立ちそうなのかを見ることです。

第三者との相談は、答えを決めてもらうためではない

キャリア相談を使う場合も、「私は転職した方がいいでしょうか」と答えを全部任せる必要はありません。むしろ、これまで何をしてきたのか。何を任されてきたのか。何を改善したのか。何がつらかったのか。これから何を使いたいのか。を話します。

そうすると、自分一人では見つけにくかった経験が整理されることがあります。転職する前提ではなく、外を見て比較する方法については、転職活動だけ始めて、転職しないという選び方も参考になります。

求人や職業情報から、経験の接点を探す

自分の経験を外から見る材料として、求人に加えて、公的な職業情報を使う方法もあります。仕事内容や必要な知識・スキルを確認し、自分の棚卸しメモと照らし合わせてみます。

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、さまざまな職業の仕事内容やタスク、必要なスキルなどを確認できます。

40代では「次に何をするか」だけでなく「何を持っていくか」を考える

若いころは、次に何を経験するかを中心に考えることが多いかもしれません。40代では、そこにもう一つ、今までの何を持っていくかという視点を加えられます。

これまでの経験を全部捨てない。かといって全部にしがみつかない。使いたい経験を選ぶ。増やしたい経験を考える。減らしたい仕事も決める。そうすると、転職先の見方も少し変わります。

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棚卸しした結果、転職しないという答えでもいい

経験を整理して求人も見た。第三者とも話した。その結果、「今の会社で、もう少しこの経験を伸ばしたい」と思うこともあります。それなら、今すぐ転職しなくても構いません。

異動する。新しい役割を希望する。これまでやっていない仕事へ手を挙げる。今の会社で経験を増やす方法もあります。棚卸しの目的は、転職する理由を作ることではありません。自分の次の一歩を考える材料を作ることです。

経験の棚卸しは、職務経歴書を書くためだけではない

もちろん、棚卸しした内容は職務経歴書、面接、自己PRにも使えます。でも、それだけではありません。自分は何をしてきたのか。どんな仕事を任されやすいのか。何を改善してきたのか。何を学んできたのか。そして、これから何を使いたいのか。

棚卸しした経験を実際の応募書類へ移すときは、経歴をすべて並べるのではなく、「誰に・何を・どこまで担当したか」「どんな問題に対して何をし、何が変わったか」まで整理すると、40代の経験や強みが職務経歴書でも伝わりやすくなります。

それが分かると、仕事を選ぶ基準そのものが変わります。

40代の日本人会社員が若手や同僚を支えながら仕事を進める様子

40代の棚卸しは、過去を振り返るためだけの作業ではない

昔こんな仕事をした。こんな役職だった。こんな実績があった。それを並べるだけなら、単なる経歴の確認です。

でも、そこから何を身につけたか。何を次でも使いたいか。何はもう減らしたいか。まで考えると、棚卸しは未来につながります。

すべての経験を、立派な「強み」に変えなくてもいい

棚卸しをしたからといって、すべてを自己PRにする必要はありません。得意だったこと。苦手だったこと。楽しかった仕事。もうやりたくない仕事。成功したこと。失敗したこと。全部あって構いません。

その中から、次の仕事を考える材料を拾います。

「何もない」と決める前に、仕事を細かく見てみる

40代で「自分には大した強みがない」と思う人もいるかもしれません。でも、長く仕事をしてきた人なら、その間、何も考えず、何も判断せず、誰とも関わらず、何も問題を解決せずに働いてきたということは少ないと思います。

ただ、その経験が日常の中に埋もれていることがあります。だから、大きな実績を探す前に、仕事を細かく見ます。

これまでの経験から「次へ持っていくもの」を選ぶ

最後に、棚卸しした経験を眺めてみます。これからも使いたいもの。もう少し伸ばしたいもの。別の仕事でも使えそうなもの。できるけれど、もう減らしたいもの。それぞれに分けてみます。

すると、「次に何をしたいか」が完全に決まっていなくても、少なくとも、何を持って次へ進みたいのかは見えてくることがあります。

40代までの経験は、過去の勲章ではなく、これから使う材料

役職。勤続年数。表彰。大きな成果。そうしたものも、もちろん経験です。でも、それだけが40代の価値ではありません。毎日の仕事で何度も任されてきたこと。小さく改善してきたこと。失敗して学んだこと。人に教えてきたこと。問題を立て直してきたこと。それらも積み上げてきた経験です。

40代の棚卸しは、過去を評価するためではなく、これから何を持っていくかを選ぶために行う。 そんなふうに考えてみてください。今まで働いてきた時間の中には、次の仕事でも使える材料が、思っている以上に残っているかもしれません。

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40代の棚卸しは、過去を評価するためではなく、次へ何を持っていくかを選ぶための作業です。経験をこれからの働き方につなげたいとき、第三者との対話で整理する方法もあります。

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